カラスマ大学の授業「日本酒造りの謎に迫る」に参加してきました
2022年1月8日(土)、京都カラスマ大学さんの授業に参加してきました。テーマが日本酒造り・清酒酵母についてのお話だったので、興味深いなぁ~…と思いまして。
ついでに、ゑびす神社にお参りもしてきました。
京都カラスマ大学ってなにもの?
京都カラスマ大学さんは、京都のあちこちをキャンパスに見立てて、誰でも関われる学びの場作りをされています。
毎月さまざまな内容の授業を開催されており、京都に住む人や勤める人、京都に関わりたい人は誰でも自由に参加可能です。
Twitterでたまたま見つけました
見つけたのはほとんど偶然……TwitterのTLに「日本酒造りの謎に迫る」などと、日本酒厨の好奇心を煽るような内容が流れてきたではありませんか! しかも近々開催。
2022年のスタートに、新しいことに参加するのも良いなと思い、参加を気めました。
参加した授業:サイエンスカフェ「日本酒造りの謎に迫る~清酒酵母×サイエンスの世界~」
さて、今回の授業内容は、酒造りに欠かせない清酒酵母についての科学的なお話。日本酒の材料は米・麹・水なのですが、醸造には酵母の働きが欠かせません。そして、酵母の働きによってアルコールが造られるとともに、味わいや風味にも影響を与えます。
酒好きの集まりでは
「きょうかい酵母が~…」
「お花見の席に花酵母のお酒を持って行って~…」
「これとこれは酵母違いで~…」
というような話題が頻出します(最近開催できてませんが)。
それだけ大事な存在であり、酒飲みとしては深く知っておきたいテーマ。
授業を担当されるのは奈良先端科学技術大学院大学の渡辺大輔氏。酵母をはじめ、微生物・発酵といったテーマの研究されている、可愛いもの好きな方です。
あ、同姓同名で俳優さんもいらっしゃるみたいですね…
授業の場所
教室は集酉楽サカタニさん。酒屋さんであると同時に、レストスペース・イベントスペースも併設された、マルチな場所です。
授業開始より早く着きすぎたので、有料試飲で時間を潰しました。
あ、立春朝絞りも「月の桂」「酒呑童子」「春鹿」と、3つも取り扱っておられる!!!
授業スタート
時間になったので、受付をして着席。最初はアイスブレイクってことで、近くの席の方と会釈したのち、簡単な自己紹介。そして他己紹介も少々。
授業はプロジェクターにスライドを投影して解説する形式でした。可愛いモノ好き講師ゆえに、ちょくちょく出てくる解説イラストも可愛らしいチョイスで和みます。
昨年、酒ディプロマ試験の一次(筆記)で挫折した私でしたが、今回の授業で理解を深めて、リベンジしたいなぁ……と思いました。
発酵と腐敗
発酵と腐敗は、毒と薬の違いかもしれませんね。
同じように微生物の働きによって、変化するけれど「発酵」ならば付加価値が付いたり、より良いものになったりする。でも「腐敗」は価値が損なわれ、害のあるものになってしまう……。毒物は危険だけれど使い方によっては悪いものを遠ざけられるし、薬も使いすぎれば害悪になるし……。
お屠蘇文化
お正月時期ということもあって、お屠蘇についても話題に上ったのですが、あまり飲まない方が多かったような?
私もお屠蘇を飲むお正月の習慣がなくて(正月の晩酌は日本酒ですが)、というかお屠蘇はお正月用の生薬を入れたお酒だということ自体、割と最近知ったというか……。
ちなみに、関東以北では、日本酒をお屠蘇とすることも多いとかで……お雑煮やおでんが地域によって違うように、お屠蘇にもちょっとした地域差があるようです。
日本酒の味わい・芳香は酵母が決め手
もちろん日本酒の味の違いにはお米の種類だとか精米歩合だとか、水質の違いとか、造られた環境も影響するんですが、一番大きな要素となるのが酵母の働きなんですよね。
ワインは原材料となるブドウ果汁に、ワイン酵母が働きかけてアルコール発酵するけれど、ブドウ持つ味や香りが強いので、酵母がその要素を付加する必要がないということ。対して日本酒は米自体に強い味・香りがあるわけではないので、酵母によって造られる要素が重要になってきます。
アルコール造りすぎな清酒酵母
さて、日本酒の味・風味に影響を及ぼす清酒酵母の特筆すべき点は、ほかにもあります。それはほかの酵母より、アルコールを多く造れる点。
確かに、ワインやビールと比べれば、日本酒はアルコール度数が高いです。ワインが12~14%、高くても15%程度でしょうか? ビールは5%くらい? (最近はストロング系発泡酒もありますが、それでも10%いかない)
対して日本酒はというと、15~17%くらいが多く、ときに18%を超えることも……。まぁ、最近は低アルコールタイプの日本酒も増えてきているのですが。
どうして日本酒はこんなにアルコール度数が高いのかというと、それは酵母がアルコール発酵しまくるからだそうで……。
本来、アルコールは殺菌にも使われるものであり、微生物にとっては有害な存在。アルコールが増えると、死滅したり働きが鈍くなったりするわけで、酵母とて例外ではないのです。
しかし、清酒酵母はアルコールの多い、自身にとって有害な環境下でも発酵を続け、さらにアルコールを造る……清酒酵母は強いのでしょうか? 清酒酵母も、酒豪なんでしょうか???
清酒酵母は休むことを知らない
そして明かされる、清酒酵母の真実。
実は、清酒酵母はアルコールへの耐性を持っているから働き続けるのではなく、耐性そのものを忘れた存在だったのです……!
本来、備わっているはずのストレス(自身を脅かす存在)に反応して防御する要素が、清酒酵母の構造には抜け落ちており、アルコールにまみれても「そんなの関係ねー!」とばかりに、アルコールを増やす清酒酵母。
自身の存在が危うくなるような環境下になっても働き続ける勤勉な(?)ヤツであったと……。
ちなみに、酵母はアルコール度数が15度あたりから活動が鈍り、18度くらいになると自己消化(自滅)するとのこと(酒ディプロマ教本より)。日本酒のアルコール度数もそれくらいなので、これが清酒酵母の限界ということですね。
また参加したいと思いました
印象に残った部分を抜粋して、授業で出てきた話をまとめたのですが、難解そうな科学の話もわかりやすく解説いただき、理解が深まりました。また、他テーマの授業も参加してみたいなと思いました。
もっと、地域のことを知りたいというのもありますし、興味のある分野がテーマになっていたならなおのこと……。
この学びが、新しい「何か」を生むきっかけになるかも知れない……。これからも京都カラスマ大学さんの活動に注目していきたいです。
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