元正天皇展に行かねばならぬ!(奈良・平城宮いざない館)

2022-07-03

2022年6月25日より平城宮いざない館にて、古代女帝のひとりである元正天皇(氷高皇女/氷高内親王)を取り上げた企画展が催されてます!

古代史ファンとして、氷高さま推しとして、是非とも見に行きたい! いや、見に行かねばならぬ!!!

……というわけで、企画展の紹介と、氷高さまの魅力についてちょっと取り上げてみたいと思います。

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元正天皇展

期間:2022年6月25日(土)~2022年12月11日(日)
氷高内親王編 6月25日~9月4日/元正天皇展 全編 9月10日~10月10日/元正太上天皇編 10月15日~12月11日

場所:平城宮いざない館(〒630-8012 奈良県奈良市二条大路南4-6-1)

元正天皇展は平城宮跡歴史公園の中にある施設、平城宮いざない館の中で催されるパネル展示企画です。無料で閲覧できますし、いざない館自体も無料で入れる施設なんですよね。

3期に分けて展開され、展示内容も変わるのだそう!

そして会期ごとにスタンプが変化する、時差スタンプラリーもやるらしいので、3回通って完成させたくなりますよね♪

私は、2021年に吉備内親王展をやっていると知って、はじめていざない館を訪れました。そして今年は、美貌の女帝ともいわれる元正天皇展となれば、期待が高まるというものです!

平城宮いざない館の最寄り駅は、強いて言えば近鉄の大和西大寺なのですが、ちょっと距離があります。季候のいい時だったら、テクテク歩いてもいいんですが……この暑いさなかにそれはちょっとヤバいので、近鉄大和西大寺駅または近鉄奈良駅から「ぐるっとバス」でアクセスするのがよいかなと思います。

近鉄奈良駅からなら「ぐるっとバス『大宮通りルート』」平城宮跡方面、近鉄大和西大寺駅からなら「ぐるっとバス『大宮通りルート』」奈良公園方面に乗りましょう。

「ぐるっとバス」は土日祝15分間隔・平日30分間隔で運行していて、運賃100円ととってもリーズナブルです。

元正天皇(氷高皇女/氷高内親王)とは?

生没年:680年~748年

在位:715年~724年

平城京で即位した女帝のひとりであり、史上初めて女性で即位した推古天皇から数えると5人目なのですが、未婚で即位したのは氷高さまがはじめて(女帝は皇后であった皇族女性が夫の死後に中継ぎとして即位というパターンが多かったので)。そしてその後も、氷高さまは独身を貫きます。

血筋としては、ガチガチに天皇家の血縁で固まってるとでも言えばいいんでしょうか、天智天皇の孫であると同時にひ孫であり、天武天皇・持統天皇の孫であり、元明天皇の子で、文武天皇・吉備内親王の姉で、聖武天皇の伯母になります。

そして氷高さまが注目される一番のポイントは、美しく聡明な人物であると、日本書紀に記述されているところじゃないでしょうか?

かぐや姫のモデルだったのではないかという説もあるそうです。(諸説あります)

即位した経緯

715年の即位は、母である元明天皇からの譲位によるものであり、この時点で30を過ぎて独身。当時の結婚適齢期というか、皇族間の婚姻事情を考えると……あえて独身でいた? 何か事情があった? と、考える要素はたっぷりです。

単純に立場が高貴すぎて、不用意に結婚させられない政治的な事情というだけかもしれませんが

弟である文武天皇が若くして即位してしまうので……「天皇の姉」を娶った男となると、自然と政治的に重要な人物になってしまう。

このあたりは創作でも色々と……作家さんごとの解釈が反映されるので面白いポイントでもあります。

弟である文武天皇が若くして亡くならなければ、氷高さまもその母である元明天皇も、即位する必要はなかったかもしれません。

一応、文武天皇が亡くなった時点で嫡男となる首皇子(聖武天皇)がいたわけですが、まだ幼い。また、首皇子の生母・藤原宮子は、子を産んですぐ精神を病んでしまって引きこもり状態だったとか……。

そういった事情なので、そんな皇子を即位させても大丈夫か? と、当時は考える人もいただろうし、文武が夭逝したのも若くして即位した心労もあるんじゃないかとか、なんたらかんたら……

そんなわけで諸々の問題をどうにかするための時間稼ぎとして、いったん、文武天皇の母が元明天皇として即位。思えばこの即位も結構異例というか、元明天皇は皇后になることなく即位してるんですよね。これも史上初のことだったわけで。

予定では皇后になるはずだったんだけど……元明天皇の夫だった皇太子・草壁皇子が、即位前に亡くなってしまってるのでね。(考えたら夫も息子も先に亡くすって、辛いな)

そして、母から譲られて元正天皇が即位となります。

異例なことが続いての即位というところに、政治的な思惑やさまざまな苦悩があるように感じられます。

退位後は聖武天皇を補佐

724年に甥にあたる聖武天皇へ位を譲りますが、その後も太上天皇として補佐役を務めます

さて、母と娘で時間稼ぎして、誰が即位するのか問題を解決したかったのですが、聖武天皇の跡継ぎ問題も。

聖武天皇の第一皇子として基皇子が誕生するのですが、母親は光明子。彼女は皇族ではなく藤原です。そんな基皇子はなんと、生後2ヶ月も経たないうちに皇太子となってしまいます。

いやいやいやいや、いくら何でも幼すぎるし、まだどんな子に育つかも分からないっていうのにと、ツッコミたいところですが、まぁ、この辺の事情は藤原氏のゴリ押しですかね。氷高さまはその様子をどんな風に思っていたのか……。

しかし、藤原氏側の思惑も外れ、基皇子は1歳にもならないうちに死亡。聖武天皇の悲しみは深く、そこにつけ込まれたかもしれない、長屋王の変がおきてしまいます。

長屋王は両親ともに皇族であるし、氷高さまとはいとこ同士。さらに、氷高さまの妹である吉備内親王を正妃に迎えているので……当時の考え方でいえば、めちゃくちゃしっかりした身の上で政治的にも重要なポストに就いている。

もしも聖武天皇が男児に恵まれないのであれば、長屋王と吉備内親王の間に生まれた男児を皇太子に……という意見が出ても不思議ではありません。

でも、そんなことになってもらっちゃ、藤原氏は困る。自分たちの権力拡大したいのに、そのためには天皇家の血筋に入り込みたいから、宮子、光明子と続けて嫁がせてるというのに。

とにかく光明子が男児を産んでくれれば万々歳なのだけど、基皇子は亡くなってしまうし、次の男児を産め産めと言ったところで、どうにかなるもんでなし。

とりあえず我らの思惑を脅かす存在は排除!!!
と、藤原氏側が一致団結したのかどうかしらんけど、いい具合に長屋王を断罪できるネタがあったので、屋敷を取り囲んで逮捕します。

こうして起こった長屋王の変にて、近しい親戚であった長屋王と彼に嫁いでいた妹である吉備内親王を氷高さまは失ってしまいます……。

私が入れ込んでいる理由と経緯

私が氷高さまを深く知るきっかけとなったのは、漫画『天上の虹』(里中満智子)です。まぁ、この作品では持統天皇が主人公なので、氷高さまの登場は後半になってからですが。

とにかく美しく聡明であり、皇族としての使命感というか、しっかりとした芯のある人物として描かれていて、少女時代から好感の持てる存在でした。

その流れで漫画『長屋王残照記』と『女帝の手記』も読み、氷高さまが即位して退位してという激動の展開に心惹かれました。

そして、そのほかのこの時代を扱った創作でもおおむね氷高さまはヒロイン格といいますか、特別な存在として扱われるというか……作品を読むほどに魅力が高まっていく気がする人物です。

創作にみられる元正天皇(氷高皇女/氷高内親王)の人物像

基本的にはどの作品でも、誰もが憧れる絶世の美女扱いされてますね。そして見た目だけでなく、内面も聡明で思慮深い。このあたりは日本書紀の記述もあるので、ハズせない要素なのでしょう。

そして生涯独身とはいえ、そのような美しき姫君ならば年頃になったら恋のひとつもあったのではと、創作意欲をかき立てられるポイント。作品ごとに恋のお相手が違うこともありますが、多少ロマンスも取り入れられます。……まぁ、歴史通りに展開するので、誰とも結ばれることは許されないのだけどね。

天上の虹

サブタイトルが持統天皇物語なので、氷高さまが誕生するのは話がある程度進んでからです。でも、生まれたときから輝くばかりに美しく、歳とともにその容姿には磨きがかかっていきます。

ただ、少女時代の氷高さまは、美しいと言われるのは内面を見てもらえていないようで嫌だと感じているふう。しかし、ある人物から、しっかりとした強さを身につければ、美しいと言われることも気にならなくなると言われ……あれは初恋だったのか? という描写があります。

適齢期になった頃には、新田部皇子との縁談が持ち上がり、まぁ政略結婚的な部分もあるんだけどお互いになんだかんだと惹かれ合いつつ……でも、氷高さまを大切に思う新田部皇子は、彼女を周りに利用させてはいけないと考え身を退く結末に。

それから、葛城王(のちの橘諸兄)には片思いされるけれど、まぁ……アウトオブ眼中というか、ドンマイ葛城くん!

愛が胸焼けする作風だけど(みんなの行動の動機がほとんど、愛が・愛で・愛の・愛をって感じなので)なんだかんだこの作品で古代史にずっぽりハマった感じがします。愛が・愛がなのは、作者さんのカラーなのかなとも。

美貌の女帝

そのタイトル通り、冴え渡る美しさを持った氷高さまを主人公とした小説作品。こちらでは、いとこでもある長屋王と惹かれ合う展開が描かれます。

でも、やっぱり結ばれないし、長屋王は妹の吉備皇女と結婚してしまうので……複雑ですね。

そして母から即位するよう求められ、孤高の存在に。退位後は聖武天皇を支えるのだけれど、彼は藤原氏のいいなりになってるようで……長屋王の変へと繋がってしまう。哀しい。

3期皆勤したいなと思う

そんなわけで、元正天皇展……氷高さま推しとしては、是非とも3期とも見に行って楽しみたいのですよ。

まずは9月4日までの氷高内親王編を見に行かないとですね。殺人的な暑さが的ですね……でも、行かねばならぬ。

2期・3期のシーズンは暑さに悩むことなく、過ごしやすいシーズンになっているかな。

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