【ネタバレ感想】琥珀の夢で酔いましょう7巻
6巻では隆一のお店・白熊を含めたさまざまな店舗が参加する千鳥足スタンプラリーがスタートしました。
各所で対応に追われながらも、クラフトビールを楽しむ人たちを目にしてイベントの成功を実感する白熊メンバーたち。
7巻もイベントのエピソードが続くのですが、諸手を挙げて大成功とはいえない部分もあるようで……?
そして、イベント後には七菜の今後と、隆一の家族のこと、彼は何ができるのか・何をするべきかといった話が出てきます!
第31話 日曜の昼はグラウラーが生きがい
千鳥足スタンプラリーは大盛況なようで、SNSへの投稿も活発に行なわれている様子。
ついに最終日を迎え、白熊は昼からお弁当とビールのグラウラー販売を実施しますが、準備が追いついておらず、見かねた珠紀さんが助っ人参戦することに。
イベントの忙しさとプライベートなあれこれで、白熊のアルバイトスタッフたちは3人とも疲労困憊なのですが……最終日、大丈夫でしょうかね?
常連さんが早速買いに来てくれて、苦戦していたグラウラーへのサービングもクリア。
でも、疲労の色が見えるスタッフの様子に隆一は気付いていなくて……重大なトラブルが発生してしまいます!
うーん、これ、監督責任者としてダメなやつですね。
トラブルが起きたことではなく、その状況に対する対応の悪さを指摘され、ようやく自身の失敗に気付く隆一……
ラッキーキャット(黄桜 伏水蔵/京都府)ホワイトエール
白熊にてグラウラー販売したクラフトビールその1。黄桜といえば伏見の酒蔵ですが、クラフトビールも作ってるんですね。
柚子や山椒の風味がする、スパイス入りの白ビールで、スパイスのさわやかさがカレーとも相性抜群とのこと。
Early Tide(BLACK TIDE BREWING/宮城県)ウエストコーストIPA
グラフラー販売したクラフトビールその2。
キレのよい味わいで軽く飲めるから、食が進む味だそう。
一乗寺レッドエール(京都・一乗寺ブリュワリー/京都府)レッドエール
グラフラー販売したクラフトビールその3。
栓抜きなしで、力がなくても開けられる、ユニバーサルデザインな瓶が特徴的。苦味はあるけれど重すぎない、夏にも良い感じの軽やかさで、料理を美味しくしてくれる味わいだそうです。
第32話 今夜はGroove beer
スタンプラリー最終日の夜となり、休憩を取った白熊スタッフの一人が復活。
一方、会社に詰めてる七菜は、まだまだ対応に追われているようでヘロヘロになっていましたが……推し・MAKOTOちゃんの降臨でこちらも復活!
修道も外回りから戻ってきて、七菜との交代を申し出てくれます。立場上、正社員である彼が今回のイベント責任者なのでね。
こうして慎と二人で出かける七菜は、楽しい時間を過ごします。
慎の計らいで用意された浴衣で、大文字を見に行く二人。7巻の表紙絵につながる展開です。
街に繰り出した七菜は、千鳥足のクラウザーを手にビールを楽しむ人たちを見て、あらためて自分のしてきたことの成功を感じるのでした。
……なんか、個人的には慎が七菜に向ける視線が、想いが気になるんですよね……
「自分を推してくれてるファンの一人」ってだけじゃないのは確実だと思うんですけど、じゃぁ何なのかっていうと……?
友愛? 尊敬? 羨望? それとも……? ……ってのは、ちょっと考えすぎなんかなー……
何かを七菜に伝えようとして、でも今夜は誰も悲しませたくないと葛藤してて、手の動きだけを描いたあの4コマで、慎は何を思ってたんでしょう?
前世はパン(ウッドミルブルワリー・京都/京都府)アンバーエール
七菜と慎がスタンプラリー最終日、二人で楽しんだクラフトビール。老舗パン屋の廃棄フランスパンを使って仕込んでいるんだとか。ビールになってもパンが残ってて、今世もパン(!?)な味。
どっちも発酵してるからと、以前に七菜がクラフトビールとパンを楽しんでたエピソードがありましたが、慎はそれを覚えてたんですね。
第33話 僕らはきっと旅に出る
千鳥足が終わり、白熊へやって来た七菜ですが、隆一は高知に帰って不在。知愛をはじめ、アルバイトスタッフたちと、鉄雄、修道が迎えてくれます。
隆一からは事前に指示があり、余った食材や冷蔵庫のビールは好きにして良いとのことで、知愛考案のペアリングで打ち上げをすることに。
イベント自体は好感触だったものの、会社的には厳しい側面もあったことが明かされ、開催・運営の難しさも感じさせられます。
でも、利益回収は数年かかるから、今後も継続的に開催して~…という話で通しているようなので、一応これからの展開も期待できる感じ?
七菜も新しいアイデアが次々浮かんできて、次の展開に期待を膨らませます。
そして思い起こされるのは慎との思い出。でも、彼女の発言に引っかかりを覚え不安も感じる七菜。
やっぱり彼女は女優さんで、自分は一般人でしかないのかなと悩むなか、慎の名字がかつて「早乙女」だったことが判明し、新たな疑問が浮かびます。
new tune(open air/兵庫県)ペールエール
不在の隆一に代わって、知愛が提案したペアリングの一つとして登場。
カレーにスパイシーなビールを合せていたことにヒントを得て、キムチの辛さと合うように透き通った苦味のビールをセレクトしていました。
林檎とハーブの微笑みエール(エチゴビール/新潟県)フルーツ&ハーブエール
こちらはもう一つのペアリングパターンということで、ハーブをスパイスと捉えて「new tune」とは違うフルーティーさで味の奥行きを出したと。
料理の隠し味に使うフルーツ的なテイストの組み合わせになっていたようです。
マツモト・トライディショナルビター(松本ブルワリー/長野県)ビター
打ち上げに鉄雄が持ち込んできたビール。
苦味にも種類があるようで、温度変化による味の代わり方も言及されていました。
第34話 Catch Me In The Ale
慎の名字が以前「早乙女」だったこと、そして職場で七菜を評価してくれている部長が慎と似た顔立ちで早乙女姓であることに引っかかる七菜。ただの偶然か、何か繋がりがあるのか?
思い返せば、顔立ち以外にも繋がりを匂わせる描写はあったんですけど……ミスリードではなく、やっぱり何かあると思わずにはいられない展開になってきました。
そして派遣元の担当から呼び出しを受けた七菜は、イベントの成功から正社員登用のお声がかかるのかと期待するも……残酷な宣言を受けてしまいます!
事情を知った修道は会社への怒りを見せますが、七菜は冷静に宥め、彼にクラフトビールイベントの今後を託します。
なんというか、この二人の関係性も良いですよね! 男女間だけど、恋愛感情を挟まない信頼関係・協力関係の形ができていて、戦友とでも言えばいいんでしょうか?
最初は修道の考えが分かんなくて警戒していた七菜ですけれど、今ではすっかり相棒みたいな感じ?
仲間がいることを認識した七菜は状況を受け入れ、今後のことを考え始めるのですが、早乙女部長から意外な話を持ちかけられます……。さて、七菜は何と答えるんでしょうか?
そして、早乙女部長と慎の繋がりは明らかになっていくんでしょうか?
Another One(Young Master/香港)セッションエール
半休取って会社を抜けた七菜が公園で飲んだビール。
七菜が好きそうな果物系の香りの、爽やかなおいしさが理不尽を受けた心に染み渡る様子……。
antumn flight(open air/兵庫県)ホッピーアンバーエール
半休取って会社を抜けた修道が公園で飲んだビール。
こっちもモヤモヤする気持ちをすっきりさせてくれる味だったみたい。
第35話 ごらんよビールこれが土佐だよ
34話のラストとはうって変わって、帰郷した隆一のエピソードがスタート。七菜の今後についてはいったん置いといて、という形になります。
千鳥足の最終日に自分の監督不足から招いたトラブルに対して思うことあったのか、高知へ帰郷した隆一。実家の家族構成も明らかになります。隆一が長子で、妹・ひかり、弟・航矢の順の三兄弟だったんですね。
「なぜ急に帰ってきたのか」と、航矢から聞かれますが、隆一は「心配いらないから」といつもの調子で流し、胸の内を明かしません。ひかりは訳あって退職しており、今はそっとしておいて欲しいと、弟や母から言われてしまいます。
いつまでこっちに滞在するつもりだろうと家族から思われつつ、久しぶりに帰郷した隆一は観光したいからと、弟妹を誘って強引に高知城へ……。
隆一は観光を満喫している様子ですが、ひかりはどこに行っても浮かない表情。航矢は板挟みっぽい感じ?
地元の酒屋でクラフトビールを調達し、ご当地バーガーと一緒に味わいます。
兄弟と一緒に楽しいひとときを過ごせていると思ったものの、ひかりは「おいしい」「楽しい」と言いながらも笑顔になりません。
どうも「楽しい」を受け付けられなくなっているようで、「楽しいのがしんどい」と言って場を離れてしまいました。
事情をよく知らない隆一は航矢に詳しい話を聞こうとしますが答えてもらえず、逆に「にーちゃんはいつも何も言わない」と、自分の考えを今まで言ってこなかったことを指摘されます。
2410(Mukai Craft Brewing/高知県)ベルギーホワイトエール
隆一が高知滞在中に兄弟たちと飲んだクラフトビール、その1。
生姜のフレーバーでジンジャーエールっぽい味わいで、ご当地バーガーとも相性バッチリだそう。
439(Mukai Craft Brewing/高知県)グリーンティIPA
隆一が高知滞在中に兄弟たちと飲んだクラフトビール、その2。
お茶が入っており、穏やかな苦味で食事にも合わせやすい味だそう。
Curious Traveler(DD4D BREWING/愛媛県)サワーセゾン
隆一が高知滞在中に兄弟たちと飲んだクラフトビール、その3。
食後のデザートにと用意したクラフトビールで、シークヮーサーのフルーティーさが全面に出る、デザートにぴったりの味。
第36話 Moonlight Stagger
35話からの続きで、隆一と弟・航矢の会話から始まります。家族のこれまでと今の状況とが語られ、塞ぎ込んでいるひかりのことは、そっとしておいて欲しいと告げられました。
夜、一人で出かけるひかりを追いかけた隆一は、しんみり飲めるクラフトビールをすすめます。
そして、会社で何があり、ひかりが退職に至った経緯が明かされるのですが……詳細はぼかされていたものの、「よくあること」として流されてはいけないよなと感じました。
また、兄に詳細を伝えないで欲しいと頼んでいたのは、隆一が持ち前の明るさから軽々しく「大丈夫」と言ってきたら、受け入れられなくなると感じてのことだったようです。
そう、そうなんだよ!
落ち込んでるとき、励ましてくれるのは嬉しいけれど、無責任に明るい言葉をかけられるのも、落ち込みの程度によって、しんどいんです!
今、こんなにしんどくて立ち直れずにいるのに、なんで大丈夫って、すぐ立ち直れるって言い切れるの?
すぐに立ち直れなかったら? 大丈夫じゃない自分はダメなの?
……って、余計追い詰められるような気分になるんですよね……
妹のそんな切実な気持ちを知ると同時に、イベントで失敗も思い起こされ、何ができるのかと悩んだ隆一には、京都の店・白熊のお客さんからかけられた言葉が蘇ります。
自分がちゃんと見ないといけないこと、自分にできること・すべきことを自覚し、二人で家に帰るのでした。
IBUSUKI Summer Weizen(ひふみよブリューイング/鹿児島県)ヴァイツェン
夜の海岸で「しんみり飲んでもいいビール」として隆一が持ってきたクラフトビール。
指宿のスイカが使われ、夏の夜の海を感じさせる味でした。スイカがらのラベルデザインも特徴的。
琥珀の夢で酔いましょう7巻全体の感想
白熊のビールイベントは以前にもありましたが、今回はほかの店舗も巻き込んだ広域イベント。それゆえの課題も見つかりましたが、それぞれに得たものもあり、また次の展開が気になる状態です。
隆一は自分の失敗と向き合ってこれからやるべきことを描けるようになったみたいだけど……七菜はもう少し、悩み・迷いって感じになりそうですね。
仕事のこともですが、慎との関係もね。
慎が言った「ずっと七菜ちゃんのファンだから」は七菜へのエールであり、何らかの特別な気持ちが込められているはずなんですけど、七菜は関係への線引きというか「特別親しくするつもりはない」と警告されたように捉えてるふうだし……
うーん、もどかしい!
上手くいってほしいです!
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