展覧会レポ:特別展「和食~日本の自然、人々の知恵~」
2025年4月46日より、京都文化博物館で開催している特別展「和食~日本の自然、人々の知恵~」京都会場を見に行きました!
さまざまな視点から和食を知ることができる展示内容で、触れて楽しむコンテンツや写真撮影可能な場所も。
内容の充実ぶりに、たっぷり2時間近く滞在しておりました。
(サッと見るだけなら、15~30分くらいで済むかも?)
そんなわけで、和食展に行ってきた感想をしたためます。
広告特別展「和食~日本の自然、人々の知恵~」京都会場
開催概要
開催期間:2025年4月26日(土)~7月6日(日) ※月曜休館
開室時間:10:00~18:00(金曜日は19:30まで)
場所:京都文化博物館 4・3階展示室
入場料(税込):一般1,800円、大高生1,400円、中小生600円
※当日券のほか、グッズが付いたセット券やお得なペア券・おやこ券の販売もあり
特別展「和食~日本の自然、人々の知恵~」は、もともと2020年の東京五輪に合わせて、東京・上野にある国立科学博物館での開催が予定されていました。
でも、皆さんご存じの通り新型コロナウイルス感染症が広がり、当時はさまざまなイベントが中止・延期。
オリンピックさえも開催を延期するという、異例の展開です。
この企画展も例外ではなく、開催を中止を余儀なくされました。
その後、2023年10月28日~2024年2月25日まで国立科学博物館で開催することとなり、他地域に巡回。
現在、京都会場として京都文化博物館で開催しているというわけです。
(京都会場のあとは熊本会場、静岡会場での開催が決まっています)
和食展、行ってみたよ!
この企画展を知ったのは、たまたま駅でチラシを見つけたからでした。
趣味で飲み食い系の小説を書いておりますからね……食にまつわる展示、しかも和食となると、俄然行ってみたい!
和食は2013年にユネスコ無形文化遺産登録されており、世界的にも注目されています。
そんな和食を、さまざまな視点からあらためて知る、よい機会となった企画展でした。
2フロア使ったボリュームある展示内容

京都文化博物館の3階・4階を使っており、展示内容は見応えがありました。
途中、ちょっと休憩できるベンチも設置されていたので、休み休み鑑賞していたら、2時間近く滞在する結果に。
ササッと、目に付くものだけ見て「へ~…」と思うだけなら、30分もあれば見終わると思いますが。
でも、折角入場料払って来ているのですし、展示内容の解説もじっくり読んでおきたかったので。
2フロア使っての展示ですが、順路は4階からスタート。
展示内容は以下のように分かれていました。
4階 | ・1章 「和食」とは? ・2章 列島が育む食材(水、キノコ、山菜、野菜、稲と米・大豆、魚介類、海藻、だし、酒、醤油、味噌、発酵) |
3階 | ・江戸の屋台再現コーナー(そば、天ぷら、寿司) ・3章 和食の成り立ち(縄文時代の食、弥生時代の食、和食のあけぼの、足利将軍御膳、和食の広がり、近代の和食、多様化する和食) ・4章 和食の真善美 ・5章 わたしの和食 ・6章 和食のこれから(見直される伝統、非常時の食、世界に広がる和食、食料生産の未来、展覧会ショップ) |
会場内は基本的に写真撮影OK!(ただし、一部撮影禁止の展示もあり)

会場内の展示内容は基本的に写真撮影OKとなっていました。(フラッシュや動画撮影は不可)
なので、この記事に使っている写真も撮影可能な場所で撮ってきたものです。
展覧会では撮影不可となっているケースが多いと思うのですが、撮影できるとあとで見返す楽しみができますね。

3階にある「江戸の屋台再現コーナー」は、記念撮影にももってこいの場所です。

屋台で提供していたお寿司の模型も展示しています。
ただし、一部撮影不可となっている展示物もあるため、注意しましょう。
(気づかずに撮影不可の展示物を撮ろうとしていて、スタッフさんから注意されました……)
現物の標本や実物大模型をたっぷり展示
写真や解説イラストのパネルが展示されているところもあるのですが、現物標本や実物大模型を使った展示もたくさんありました。

キノコも和食の重要な食材。
模型や標本が展示されています。

そして、一見毒があるようには見えなさそうな、危険なキノコの模型(一部、現物標本)も!
触れて楽しむコンテンツもある
パネル展示や模型、映像を見るだけでなく、触れて楽しむ要素がある展示も面白かったです。
こちらは、カレンダーのようにめくって、答え合わせができるクイズ方式の展示。

なじみのある食材ですが、意外とどの部分を食べているのか知らなかったことが判明しました!

タマネギって、長いこと放置しちゃうと、ニョキッと芽が出ることあるじゃないですか……
だから、球根というか、根の一部を食べているのかなぁ……って思ったんですけど……

あの、外側を剥いた、白くて丸っこい部分は、葉に該当するんですね。
ほかの野菜たちも、答えを外しまくり、全然正解できませんでした。
大根って、こんなにあるんです?

野菜の展示では、大根のレプリカ展示も目を引きました。
壁一面に大根の模型が展示されているんですけど……写真一枚には入りきらなかったです……
太いの、細長いの、丸っこいの、色味が強いの……よく見ると、葉の形にも違いが見られて面白かったです。

おー、これは『美味しいベランダ』で、主人公の「栗坂まもり」が調理していた「練馬大根」
米と大豆の七変化!

お米は主食として食べるほか、お餅や和菓子の材料としても使われる食材です。
食事にもおやつにもなる存在として、和食文化には欠かせません。
しかも、日本酒の原料でもあり、日本酒を搾ったあとに残る酒粕もまた、食材として利用可能。
そして大豆もまた、和食のなかではさまざまな形で使われている重要な存在。
醤油や味噌といった調味料に、搾った豆乳は豆腐や湯葉に、搾った残りはおからとして料理に使われ、豆腐はさらに加工してお揚げになり……と、多様な姿で和食に使われています。
魚介類の模型を見ていると、お寿司が食べたくなる…

4階の魚介類について展示しているエリアでは、実物大模型がたくさんありました!
マグロたち……顔つきは同じ雰囲気ですけど、大きさとか、ひれの形とかに違いがあります。

ネギトロって……てっきり、ミンチ状に叩いたトロと、細かく切った葱を和えているから「ネギトロ」だと思ってました!
正解は、身を「ねぎ取って」いるから「ネギトロ」だったんですね。
(……でも、ネギトロって、だいたい葱入ってるよね???)
マグロ以外の魚や貝、甲殻類の展示もあり……
見ているとだんだん、魚市場にでも来ているような気分になってくるのは、私だけでしょうか?

あー、魚食べたい!
できたら、寿司とか、刺身で食いたい!
などと思いながら、展示内容を見ておりました。
だしや発酵、そして料理へ…

料理の味わいに関わるお出汁、それから調味料作りや食品の加工としての発酵。
これらも和食には大切な要素です。

日本酒造りも発酵が重要な要素であり、酵母の働きが香りや味わいに影響します。
やっぱ、日本酒に合わせるなら和食かなって思ってしまいました。
もちろん、他国の料理とのマリアージュも楽しいんですし、美味しいですけれど、育まれた地域にゆかりあるもの同士は合わせやすいように感じます。
そして、3階の展示室に移動すると、和食の成り立ちや真善美、これからといったテーマの展示物が広がり、食文化の変遷や調理方法の変化などが見て取れます。
京都会場のみのオリジナル企画として展示されている「足利将軍御膳」もこのフロア。
ほか、各時代の料理を再現した模型展示があり、時代によってどんな食材を使っていたのか、どんな調理方法だったのか、現代の和食へと近づいていく様子が伺えました。

クックパッドによる、現代版レシピもQRコードを読み込んで持ち帰れるんですが……

大変丁寧に作り方が書かれているんですが、一般人には到底再現できないレベルの調理工程です!
(てか、調理以前に材料の採取がな……)
あ、でも、江戸時代の味を再現するレシピも提供されていて、こっちはまだ、現実的かな?
タヌキ、食われる

古代において、冬季は狩猟による食材調達が重要だったわけですが……
ん……?

タヌキ……

イノシシやシカだけでなく、タヌキも食料として親しまれていたようです……。
まぁ、昔ばなしにも、タヌキを罠にかけて、タヌキ汁云々って話が出てくるわけで……
(でも、タヌキは罠を見破り、逆に婆さんを罠にかけた挙句、婆さんになりすまして、婆さんを調理するから、最終的に報復されるっていういね……/byかちかち山)
和食展の京都会場は2025年7月6日まで開催です!
ざっと、心に残った内容を紹介しましたが、実際にはもっとたくさんの展示がありました!
(全部を取り上げるのは大変なので、これくらいでご容赦を)
和食について多角的に知ることができ、とても学びのある展覧会だったと思います。
京都文化博物館での展示は、7月6日までやっているので、気になっている方はぜひどうぞ。
私は平日昼間に足を運んだので、ゆったり見て回ることができましたが、週末だと混み合うかも?
中高年代の来場者が目立ちましたが、学生さんらしき人や海外からの観光客の姿もあって、幅広い層が楽しめる展覧会だと思います。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません