【ネタバレ感想】酒と恋には酔って然るべき1巻
『酒と恋には酔って然るべき』単行本第1巻は、1合め~6合めまでを収録しています。
日本酒を愛するアラサー女子・藤井松子が、カップ酒での手軽な晩酌や季節ごとのお酒を楽しむ様子が描かれつつ、恋の展開も目が離せない作品です!
1巻では会社の後輩・今泉くんが気になり始め、恋になるのかならないのかという、微妙な関係が描かれます。
今泉くんは松子をもてあそんでいるのか、それとも……?
お酒のちょっとした豆知識も面白く読めて、日本酒を飲む人も飲まない人も楽しめる漫画です。
1合め:ワンカップOL、ヤケ飲み
日本酒を楽しむ松子の日常風景を描きつつ、職場の後輩である今泉くんとの個人的な交流がスタート。
具体的な季節をあらわす描写はないのですが、登場人物の服装や燗酒でほっこりしている様子から、秋冬かなと推測され、松子は自分ペースで「酒」を楽しんでいます。
そして今後の松子の「恋」の部分に関わってくる今泉くんは、今どきというのか何というか……
飲み会の付き合いも悪いし、全体的に塩対応(?)と思いきや、サシ飲みすると「デレ」が見えてきて……という、うん、こういうギャップってときめきポイントですよね?
距離感に戸惑いながらも、マグロのヅケを肴にカップ酒で宅飲みして急接近!?
もしかして良い感じ? と、思わせぶりなシチュエーションになるものの、なかなか上手くはいかない様子が描かれます。
末廣Dr.野口カップ(末廣酒造/福島県)
冒頭にて松子が1人、晩酌として楽しむカップ酒。
1話目に登場するもうひとつのカップ酒「ゆめごころカップ」と同じく福島県のお酒で、たくさんストックしている様子も伺えます。
ゆめごころカップ(夢心酒造/福島県)
今泉くんを自宅に招いて飲むことになったカップ酒。
お手軽に燗酒を楽しむ方法として、レンチン燗も紹介されています。
ずらりとカップ酒のストックがある様子に、今泉くんはなんともいえない反応をしていたのですが……それが「あんなことになる」とは、まだ知るよしもなく……。
2合め:女ひとり、楽しい年越し
続く2合目は年末年始のエピソード。松子は実家のある福島には帰省せず、1人楽しく年越しとお正月を楽しむようです。お酒とともに、福島の郷土料理「こづゆ」もちらっと登場します。
そして、ひとりの元旦を満喫する松子は、用意しておいた「菊正宗 樽酒ネオカップ」に金箔を入れて、朝から日本酒をキメちゃいます!
すると今泉くんから初詣のお誘いがあり、テンションは急上昇!
でも、今泉くんは相変わらずつかみ所のない反応で、松子は振り回され気味に。
ちょっと踏み込んだ質問をしてみたら、問題発言が返って来る始末。
松子の「酒」は充実していますが、「恋」は前途多難な様子が描かれます。
菊正宗 樽酒ネオカップ(菊正宗酒造/兵庫県)
冷蔵庫にしまわれた新政No.6がちらっと出てきますが、これはまた今度……となり、今回メインで取り上げられたお酒は、お正月にぴったりの「菊正宗 樽酒ネオカップ」(あと、年越しの一人酒は「ゆめごころカップ」だったような描写もあります)
お正月用にと大晦日の夜に仕込んでおいたおせち料理をつまみながらの樽酒。しかも、おめでたさを演出すべく金箔をトッピングという、元旦からお酒を満喫する様子が伺えます!
3合め:春を告げるお酒でひとり遊び
立春に焦点を当てて、この時期ならではの日本酒・立春朝搾りが紹介されます。私が立春朝搾りの存在を知ったのは、この作品のおかげです。
その名の通り、立春に合わせて用意されるお酒で、前夜に搾って瓶詰めしてお祓いしたのち販売店に運ばる日本酒。数が限られるので、基本的には予約購入となります。1日以内に搾りから販売店に並ぶという、タイトスケジュールであるため、酒屋さんも地元または周辺地域の酒蔵のお酒しか扱えません。立春に合わせてお酒の状態を整える大変さ、その日に届けなければならないという過酷スケジュール。すべては縁起を担いだお酒を届けるためのもの。なので、立春朝搾りだから特別美味しい……というものでもないのですが、しぼりたての新鮮さとこの日だけの特別感を楽しめる存在です。
松子は行きつけの酒屋さんで立春朝搾り予約していたようで、いそいそと引き取りに行くのですが……その様子を今泉くんに見られてしまい、イジられます。
あと、この回で新しい酒器を購入するんですよね。お気に入りの酒器が増えると、家飲みもますます楽しくなります。
しかし、ペアで購入した酒器を使った「遊び」のせいで、今泉くんにはちょっと誤解を与えてしまうのでした。
甲子 立春朝搾り(飯沼本家/千葉県)
松子が予約購入した立春朝搾りは、千葉県の飯沼本家のものでした。これまで飲みきりサイズのカップ酒を楽しむパターンでしたが、ここにきて4合瓶サイズの日本酒登場ですね。
季節を感じられるようにと、松子は菜の花やタラの芽、ふきのとうを調理……てか、なにげに松子、料理上手じゃね?って思うんですが!
おひとり様を極めてるというのか、美味しいお酒のためなら手間をいとわないというか……一人暮らしだと揚げ物ってなかなかやらないんじゃないかなと。
4合め:バレンタインで恋する女子気分
新年、立春ときて、次はバレンタインからホワイトデーにかけてのエピソード。今泉くんへのバレンタインチョコをスルーしたものの、逆にちょっとした差し入れを渡されて、松子は不意打ちを食らってしまいます。
どう対応したものかと悩んでいるところに、同僚の白石に招かれてちょっとしたホームパーティへ。
春らしいお酒を用意し、新しい出会いもあるのですが……酒好き同士でも上手くいくとは限らないんですよね。
これはほかの趣味でも「あるある」なんじゃないでしょうか?
楽しみ方・向き合い方は人それぞれ違うものなので、スタンスが違ってもお互い認め合えるのが心地良い関係ですよね。
作品のタイトル「酒と恋には酔って然るべき」が、セリフとしてはじめて登場するのもこの回。
獺祭ショコラ(旭酒造/山口県)
お酒とはちょっと違うかもですが、バレンタインエピソードということで、日本酒を使ったチョコも登場。しかし、松子は自分用として購入し、味見と称してパクパクパクッと完食してしまいます。
月の桂 本醸造大極上中汲にごり酒(増田徳兵衛商店/京都府)
白石に招かれ、春らしい日本酒を持参しようと松子が選んだのはにごり酒。しかも「月の桂 本醸造大極上中汲にごり酒」は、シュワシュワ系で爽やかに飲める日本酒です。
だから開栓時は吹き出し注意!
せっかくだからと、自分用にも購入して、桃の花を飾って味見する松子。というか、わざわざ季節のお花まで飾っちゃうのも、松子の日本酒へのこだわりが伺えますね。
5合め:花見酒は甘ずっぱく
この回にて、松子に恋のライバルが出現!
それにともなって、ちょっと自分からアクションしてみようかな、と思い始める松子なのですが……。
職場のお花見では日本酒係になった松子が、春らしい雰囲気のにごり酒を持ってお花見に合流。するとそこでは今泉くんが何やら若い女子と良い雰囲気に……松子のモヤモヤが高まってしまう展開です。
職場でお花見しているので、季節は3月下旬~4月上旬くらいでしょうか?
松子が持参した日本酒に3月下旬までの限定販売となるものがあるので、作中のシーズンは3月末あたりかもしれませんね。
菊盛 純米吟醸 うすにごり酒 春一輪(木内酒造/茨城県)
微発泡で飲みやすいと、花見の席でも好評だったお酒。前回からシュワッとガス感のある、にごり酒が続いてますね。
ラベルデザインも春らしく、松子は「春の喜びを感じながら飲め」とプレゼンします。
五橋 純米桃色にごり(酒井酒造/山口県)
度数が高くて……と日本酒を倦厭する人でも飲めるように、松子がもうひとつ用意したお花見用のお酒は、ピンク色の日本酒。
10度ほどのアルコール度数で、赤色酵母の作用でピンクに染まっているのが春らしいです。
6合め:酒と恋、どっちが大事?
次の彼氏ができたら2人で飲むように……と、冷蔵庫にしまっている「新政No.6」を眺める松子。
今泉くんが気になってるけど、彼の気持ちが分からずモヤモヤを募らせてるんですよね。しかも前回のお花見にて、他部署の若い女性・美森さんが今泉くんに接近している状態です。
そんな悩みの尽きない松子が参加した職場飲み会の席でなんと、あの「新政No.6 Xタイプ」が登場!
戸惑いながらも、日本酒ラバーとして飲まずにはいられず、その味に感動!!!
……よく見ると松子と同様に、感動している人が別のテーブルにいるのですが、それはまた次回の縁で。
その流れで今泉くんを自宅に招く展開になるのですが……最後に爆弾投下されて2巻に続く、となります。
新政No.6 Xタイプ(新政酒造/秋田県)
やっぱり日本酒を取り上げる作品なら、獺祭と新政は外せない感じですね。満を持して1巻ラストに「新政No.6 Xタイプ」が登場です。
自宅冷蔵庫にも1本キープしている松子ですが、飲み会で行ったお店にてまさかの遭遇。これは飲むしかないと。そしてカンドーと。
日本酒の味で感動の涙を流す体験、私には今のところないのですが……松子にとってはすごく衝撃的だったんですね。
1巻全体の感想
日本酒を自宅でも外でも、一人でも誰かと一緒でも楽しむ松子。
そんな彼女の酒と恋の事情が中心となるラブコメ漫画ということで、今後の展開が気になる作品です。
とりあえず職場の後輩男子・今泉くんが気になる存在で、恋の予感はしたのだけれど……始まる前に終わったような感じで、1巻は見事に無理回される展開でした!
とはいえ、松子も押すのか引くのかよくわからん対応になっていたので、今後の教訓にする感じでしょうか。
また、季節に合せた日本酒の楽しみ方も出てくるのがこの漫画の面白いところ。
作中の季節が変わればどんな日本酒が登場して、どんな楽しみ方をするのかも目が離せないですね!
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